【美術】「地獄絵ワンダーランド」展

皆様、お今晩は。9月3日迄三井記念美術館にて開催中の「地獄絵ワンダーランド」展に行って参りました。その感想です。

約2500年前、釈迦はこの世を生死輪廻が繰り返される「迷い」の世界と見ました。科学が進んだ現代も、戦争や災害、貧困などが絶えず、この世は混迷の度を深めています。真実に目覚めることで、迷いの世界から解脱して、涅槃(悟り)の境地に至る教えが釈迦の教えであり、仏教という宗教としてアジアを中心に汎く展開しました。

仏教は自己の行為の責任を厳しく問います。業(行為)の思想が各地域の他界観念と結びつき、仏教独特の来世観を生み出しました。日本においては、平安時代に恵心僧都源信が『往生要集』を著したことを契機に、来世への希求と不安は一層強固になりました。悪行をなせば、六道輪廻の悪循環から抜け出せず、現世よりもっと酷い苦界へ堕ちること必定と聞けば、怖れと不安と絶望の闇へと突き落とされる。六道のなかでも地獄が突出して恐ろしい世界として微に入り細にわたって描かれ、絵画・彫刻・工芸などの多彩な作品へと結晶していきます。

誰しも苦しみから救われたいと願わずにはいられません。六道輪廻から抜け出し、苦悩のない安らかな世界に往生できればどんなにありがたいか。そうした人々の切なる願いを源泉として、来迎図や浄土図といった壮麗な浄土教美術が発達しました。

この展覧会は、「怖れ」と「憧れ」の象徴としての地獄と極楽の美術を通じて、日本人が抱いてきた死生観・来世観を辿るものですが、なかでも近世以降、民間で描かれた様々な地獄極楽図は「たのしい地獄絵」といわれるような展開を遂げたものもあり、ここではこれらにも焦点をあて、「地獄絵ワンダーランド」を楽しんでいただきます。

去年江戸東京博物館にて開催された「大妖怪展」が国宝、重要文化財綴れ織りの空前絶後の破格のスケールだったのと比べると今回の展示は天気予報では無いですが「平年並み」と言わざるを得ないのであります。

今回の特色は「地獄」に焦点を当てているところでありまして、確かに怖い地獄の絵もあるんですが、意外な程に閻魔大王を初めとする十王の姿がユーモラスともうしましょうか?もっと突っ込んで言えば「脱力系絵画」的なところがありまして、こればかりは会場で御目に掛かって貰うしか無いような気が致します。

それと三井記念美術館水木しげる先生の作品を取り上げるのは今回で二度目でありまして先生の絵が第一展示室にズラリと並べられるのもまた通常とは違った趣があると感じたのは自分だけでは無いと思います。